03.30
音を立てるようにして茅ヶ崎の桜がほころんでいるのであります。
散歩しましたら、行きより帰りの方が濃密の度を深めておりますから、時間差で次々に咲いているのでありましょう。
若い頃は、桜などにはまつたく興味がなく、むしろ苛立たせる花の一つでありましたが、先が見え始めると、桜の花につい誘われてしまうよーでございます。
いよいよ、これで春は真っ盛りとなったワケで、季節は次のステージへと移るのであります。
そのむかし、亡父と寒バヤ釣りに出かけたものでしたが、桜が終ると枝に葉が茂り、釣糸の邪魔になるので「そろそろ川釣りも終わりだな」などと山桜に目をうつしたことでありました。
「岡釣りだよな」と私メは内心思ったりいたしましたっけ。
そうなのです。
この季節はお女性がバカにキレイに見えるのであります。
お女性のなかには「春が嫌いだ」「家庭がイヤだ」と不満をお持ちになる人がおりますが、イヤだと否定しても季節や家庭や過去などは変えられる事柄ではございません。
考えるだけ無駄なのでございます。
ならば、身を飾り、男たちの目を楽しませることで、新しいオタノシミのチャンスを掴めるかもしれませぬではありませんか。
ちょっと値の張る下着をつけ、そのお姿を鏡に映すだけでもぜんぜん気分は違うのであります。
私メもユニクロに立ち寄って二枚で980円のおパンツを買ってきましたですよ。
赤くしこった蕾がいっせいに開花するのですから、男女とてむずむずしないハズがございません。
このむずむずをイタズラに抑止しますと、食い過ぎたりヒステリーを起こすのであります。
触るタノシミ、触られるヨロコビを満喫する、その自然の摂理に正しく向くことが求められるのであります。
花見の名所からはなれた人もまばらな夜の公園のたわわに咲く桜の下を歩いたら分かると思います。
桜並木が終ることが淋しくて、ふたたび桜のしたをゆっくりと引き返しつつ、はらはらと散る花びらにむせび泣きたくなる情感につつまれながら、ひととき、夢をさまようのも悪くはございませんでしょう。
淫らさは元気の元でございます。
桜の花はミダラサを揺さぶって煽り立ててくれる淫花と申せましょう。