2016
04.23

現実と夢の境があいまいな朝がございましょう。

夢の中で、私メはタクシーを待っていたのでありました。

深夜の宴会に呼ばれているらしいのでございました。

パーティーの招待状には夜の12時に開場と印刷されておりました。しかし駅前のタクシーが来ないのであります。

目覚めてからも私メはタクシーを待っている気持ちが抜けないのでございます。
遠く忘れていた恋心に近い気持ちのよーでもありました。

そのまま玄関をしずかにあけサンダル履きで散歩に。

池に行きましたら桜が湖面に堕ちております。
「流木の命」などと易者らしいことを思いました。

四柱推命で日主が木星で根がなく水星の旺過している命式であります。
文字通り世間に流される運命の持ち主。お女性ならば愛を求める恋多いお方と申せましょうか。

恋にひと飲みにされる傾向をどーすることもできないのであります。
桜の花びらが鯉に呑みこまれるよーに。
甘えたで可愛くて、いつも不安をかこっているお女性なのでありましょう。

夢の中で私メも、真夜中のパーティーへの出席を迷いながらも、来ないタクシーをまっているのでありました。

湖畔をさまよいつつ伸びをすると、脊髄が音を立ててほぐれていくのです。ほぐれるごとに現実へと覚醒していくのであります。

夢との決別が惜しくもございます。
握りあっていた手と手がほどけ、指先が離れていくよーな淋しさと安堵の気持ち。情事のあとの鏡の前の身だしなみしている際の心持にも相似しております。

かき曇った下で花はしずしずと舞い落ちていくのでありました。

半年もったからイイじゃないか。
一年続いたのだから良しとしなくては。
四年も持続するなんて最初は思わなかったじゃないか。

後悔しないほど燃えたはずだった。いや、後悔しないために燃えよーとしていたのだ。

タクシーを待つうちに、招待状はいつしか箸袋と化し、箸袋には「高楼郭」と店名が記されておりました。知らない店であります。現実にあるかどうかも分かりませぬ。

もしかすると桜の匂いが、夢のなかに忍び込んでいたのかもしれませぬ。