01.03
福岡に去った仲間の一人はおりませぬが、2日の晩はささやかなパーティ。
今回はいただいたエゾシカのステーキをあいなったのであります。
「焼き過ぎないでよ。レアのレアでいいからね」
などとプレッシャーを受けつつ、オリープオいるにニンニクを沁みつけて二キロほどのエゾシカ肉をいっきに焼き上げるのでありました。
ワインはロゼ。
さくりとナイフを入れますと、それこそ赤ワイン色のレアがいやらしく現れまして、ホッといたします。
「さすがですね、この焼き方は女ではできませんよ。女は焼き過ぎるから」
と妙な褒め言葉されて、ますは乾杯なのでありました。
画像がそのレアであります。
まるで生肉。
が、中まで火が通ってしまうと、ぱさぱさになって味が半減するそうであります。
フランスパンにあわせ、胃の腑に落ちたパンは、グビグビと流し込まれるワインをスポンジのように吸って膨らむのであります。
けれど鹿の肉はサッパリしていますから、どこまでも入り、
「ほかに何かないのか?」
ということになるのは時間の問題でありました。
仕方なく、隠していたエスカルゴの缶詰を出すことにしたのでございます。
オイルで煮て、それにニンニク+バターを塗り、レンジで60秒。
珍味であります。
ワインはたちまち5本ほど空。
私メはかなり酔い、廊下に出まして階段に腰掛けるのでありました。
福岡にいるだろう仲間は、いまごろどうしているのかと考え込んだりするのでありました。
届いた賀状には差出人の彼の名前もありませんでした。
記されていたメルアドから、彼であると知ったのであります。
過酷な時代でございます。
こんな悲惨な時代がかつて歴史にあったでありましょうか。
戦争も農民一揆なども本で読めば悲惨でありますが、犠牲者の数字など無機質なデータを見る限りにおいて、現在の世の中の方がよほど地獄なのであります。
さらにワインをあけ、玉ねぎやジャガイモをレンジで蒸して、それにアンチョビとオリーブとニンニクをミキシングしたものをなすりつけて食うのであります。
バカ騒ぎでもしていないとやり切れない時代の到来なのであります。
でも、どうして、仲間は、私メにひとことも残さずに九州に帰ったのか…。
きっと私メには理由が分かっているのでありましょう。
分からないそぶりで首をかしげているに過ぎないことを、もう一人のシラフの私メは知っているのでございますです。