2013
12.05

地形のせいなのか瀬戸内は晴れた地域に小舟が入ったかと思うと、ある地域では小雨が降っていて、その光と影が作り出す不思議な色彩が海のいろに影響させているようでありました。

今治から点在する島々の港にたちより、生名港で乗り換え、そこから本州の三原まで出ようという腹積もりなのでありました。

ところが、船会社が土生商船と芸予商船の二社があり、その会社の相違から、乗換地点のちがいがあるのでありました。
つまり乗換地点だとおもっていた生名港は、土生商船ではもう一つ先の立石港という解釈なのでありました。
ややっこしいのでありますが、生名港と立石港の間、約二キロを歩かされる羽目になったのでございます。

「よそもんは、みんな間違いよる」 
と言われても、間違ってしまうのが当然であります。
それより立石港から、あと20分で出航ということ。
走りました。
もうじき60歳というのに、はじめての土地でどうしていきなり走らなければならないかと運命を嘆いても仕方ありませぬ。
バックの中で大量の福本銭が金属音をさせているのでありました。

こういうアクシデントが旅行の楽しみではありますが。

そして残念ながら時間にギリギリに間に合い、こうして三原までの船に乗船できたのでありました。

もし時間に間に合わず、小島に取り残され、そこで宿泊したら、またおかしげな現実が待っていたかもしれないと思うと、ちと複雑な気分でもあります。

三原は広島県であります。
つまり、市民全員がヤクザだと見るのが安全でありましょう。
してみると、瀬戸内の島々は、マフィアでいうところのシシリー島なのかもしれませぬ。

本州に足を踏み入れた瞬間に、ピリピリとしたものが感じられたのは、やはり県民全員、警察官さえも暴力団の一味だからでしょう。全員が私メからお金をせしめ、シャブ漬けにしようとしているのであります。

「そんなところにいては危ないわ、あたしについてきて」
と真木よう子にかくまってもらったところが、三原から二駅の尾道なのでありました。
コンビニのない、きわめて健全な街なのであります。

が、市民は毎晩ぼっぱつする暴力団の銃撃戦から身を守るために、午後7時にはアーケード街のほとんどの店はシャッターを閉めるのであります。

その時、携帯がなりました。
「おめでとうございます」
編集者からでありました。
「奇門遁甲術入門の増刷が決まりました」とのこと「もしもし2000冊ですよ」ということでありました。

これで吉方位の方位効果が出たということなのであります。

あとは、明朝、無事にこのヤクザの街から無事に抜け出せばメデタシなのでございますです。