2016
08.11

「おかしい、謎を解くカギは、絶対に墓にあるはずだ」
この確信は、友の死を聞いた瞬間から発生し、頭を離れないのでありました。
家業が破綻し、妻の死から、ひと月も経たぬうちに没することは、あまりにも奇妙なのでありました。

菩提寺は知っておりましたから、車を走らせました。
友の名はサイトウヒロヤス。
見ると、前の車の番号は、3168。サイ・ロヤスではありませぬか。
ミラーで後ろの車をみたら、1016。トウヒロ。合わせると、友の名ではありませぬか。
なんとなく嬉しくなりましたです。

菩提寺の駐車場に車を止めて、花を抱えて、真新しい卒塔婆をしらみつぶしに探ったところ、「ああ、ここだ」と斉藤家の墓を見つけたのでありました。

なんだ、この穴は! 穴二つではないか! なんだ、墓の後ろに粗末に並ぶ小さな先祖の墓群は!

そして台座の縦に走る割れ目!
それも一つだけではなく、反対側にも、ヒビが刻まれていたのでございます。

墓は、上段から、福、禄、壽と意味があるのであります。
三段目に傷があることは、壽に難があることを物語りますです。

凶相の墓ということになり、私メは、嘆息しつつ、花を供するのでありました。
「ひとこと、おかしなことが続いていると、相談してくれれば…」と呟きましたら、「おらも行きて」と着いてきた老母が「わがねんだ、そったなこと知らねがったんだべおん」と、目をらんらんと光らせて、生き生きと手を合わせるのでございました。

皆さま、お盆の時期でございます。
もしも、何をやっても裏目に出ているならば、祖先の墓を注意深くチェックし傷やカビのような模様や、妙な穴はないか調べて見てくださいまし。また古い祖先の墓を差し置いたような墓でないことも忘れずに調べてみてみてみてくださいまし。

帰り道、前を行く車のナンバーは、3900。サンキューオノでございましたです。