2017
03.22

季節は、桜花のてまえで雨をもたらしております。

濡れた車窓を眺めながら、「罰が…」という言葉を思い出していました。

「罰があたったのかな」
カフェの片隅で入口に背を向けた彼女は、そっと傷を見せたのでした。

傷というより、まるで花が皮膚に芽吹いたような傷でありました。

「わたしわがまましていたから」
「おいしいものを食べたり?」
「そう、それから服を買ったり」
「こうして逢っていたり…?」

罪の意味の本質をお互いに知っているのに、本質に分け入ることをためらい、「ほら」とコンビニで買ったワインのボトルをバックの上からたたきながら「傷にさらわない?」「平気、平気」。

客が酒を持ち込んでも気づかない、やる気のない怠け店員の個室の居酒屋へと向かうのでありました。

桜の花の開花は近いのであります。
雨に打たれようと、季節が逆戻りしたような寒さが襲ってきても、こうなれば櫻花は咲くしかないのでございます。

春という花園にいざなわれ、花吹雪に彷徨うだけでございます。

運命とは強いパワーを有し、罪も罰もなぎ倒し、ねじ伏せ、耳には聞こえない音をたてて次の季節へと人々を運んでいくのでございますです。