2018
10.14
10.14
それが、どーいう風のふきまわしか、気づいたらピザ屋に入って、青チーズのピザにはちみつをかけて頬ばっていたのでありました。
食事からこーなのであります。人生が想像もつかない展開になるのも当然かもしれませぬ。
ピザなど、一時間前の、いや数分前の選択肢にもなかったことなのであります。
私メはおそらく二年前に亡くなった叔母のことを思い出していたのかもしれませぬ。痴ほうした叔母を見舞ったとき、ナースが「誰の事も認識できませんよ」と言っていたのに、呻くよーに、しかしハッキリと腕をさすっていた老母の名前を呼んだのでありました。ばかりか私メに向けた眼は正常者の光が宿っていたのであります。
何年かぶりに泣きぬれてしまいましたです。
だからと言って、その想い出がピザと直接リンクしているのではありませぬ。ありませぬが、味噌ラーメンからピザに変更させた何かの理由が、叔母の想い出に含まれているに相違ありませぬ。
でなければ、ピザはマルゲリータと決めているのに、チーズのピザを注文する道理もないのであります。
人生だな、これが。
味噌ラーメンを食った後に、冷たい水を飲もうと思っていましたが、ピザを平らげてから珈琲をやめて、水を飲んだことで、
「最後はキレイに揃えたわけだ」
と訳の分からぬまでも、空っぽのグラスを眺めて、ひとり納得したのでありました。