2020
05.21

雨のために、奥の庭に発生しているフキを刈り取ることが出来ませんです。
せっかく草取りの道具を関東から持参したのですが、使えぬまま物置の脚立の上に捨てられておりますです。

夕方になれば、老母に食わせる肥料をせっせと作り、そのあとは太平洋戦争あたりの資料をながめては、
「人々の気持ちは、こうやって荒廃していくのか」
とか、そんなふうに時間が流れていくのでございます。

隠遁生活でありましょうか。

戦後のエピソードで目をひいたことがございます。
日本経済が危機に瀕した時、政府は新円を発行し、旧円を預金に封鎖する手を打った、それでございます。

つまり新円と旧円の交換は、全額ではなく、全国民一人当たり百円の制限という規則を作ったらしいのであります。お金持ちも、月収五百円以上は切り取られ、のこりは強制的に預金させられたとか。

全国民の手許金はがた落ち。

こうやって資金の流出を防いだわけでして、賢い連中は、はやいところ何らかの物資に変えていたとか。

当時、失業者の数は五百万人。そこに復員兵や引揚者が加わり、一千三百五十九万人に上ったと資料は語っております。

また人々は英雄を作りたがるものでして、戦前では天皇さんやら軍神であったものが、映画スターだの歌い手だのがジャーナリズムが作り上げていった過程を読むにつけ、
「次はどーなる?」
と推理したり空想したりで、あっというまにモリオカにきて三日間なのでございます。

カンしかございませんです。

考えてどーなるわけでもございません。

カレーを断ち、マックをやめて、ひたすら純な本能に記された文字を読み解くだけしか、方法がないのでございます。

そういう食い物は運をダメにするだけでなく、カンを濁して使い物にさせなくなるのであります。

いわば運の性病。

やはり自然の山菜などを食すことが、はげしく求められるのであります。

気狂いどもが赤い口で、救いを訴えるよーにツツジが咲いておりますです。

もうすこし隠遁生活に泥む予定でございます。