2021
11.12

お客様から預かっていたトカゲのミイラを、いよいよ彩色する日が来たのであります。
甲子日。
そして半月。

大きな方の一体は私メのヤツ。

ヤモリやトカゲは尻尾を切っても再生するところが、魔力が秘められていると言われているのであります。
人体でも、髪の毛や爪が呪術に使用されるのも再生機能をもつからであります。

お女性の陰毛を一本、懐紙に包んで持ち歩くとギャンブルに勝つと言われているのは、さてさて。
墓石の欠片もギャンブラーのお守りでありまして、こちらは、欠け=賭けの駄洒落であることは言われなくても納得。だのに、駄洒落と知りながら、それでも持ちたくなるのは人間の心のいかなる作用なのか。

画像のトカゲは、夏のうちに採取し、それを完全に乾燥させたものであります。
乾燥が甘いと、腐って異臭を放つのであります。かといって乾燥しすぎると彩色のときにもろく折れてしまうのでございます。
これよりも大型の、蛇とかになりますと、内臓を取り出し、別の容器で乾燥させ、彩色の段階で、ふたたび腹に戻すのが作法であります。
そこらへんはエジプトのミイラの作成方法と同じでありましょー。

いずれにせよ、生きたまま乾燥させるわけですから、トカゲは喉がカラカラに乾き、苦悶のうちに昇天したことは想像できますです。
ですから、トカゲのミイラを祀る時は、ショットグラスに水を供します。

トカゲは、水をくれた者、たとえそれが自分を殺した者であっても、
「ご主人様、なんでも願いを叶えて差し上げます」
こういう筋書きなのであります。

さーて、前口上は、これくらいにして、彩色の義を始めたいと思うのであります。