2013
01.27
01.27
北国は雪がつもっているでありましょうが、湘南の夕暮れは、明るさがどことなく春めいて感じられるのであります。
それは、朝だとおもって目が覚めたら、まだ深夜だったような錯覚かもしれませぬが。
タマゴがなくなっていて、それでスーパーに行った帰り道なのであります。
空が仄かに青くて、きっと妄想に違いないのでしょうが、嬉しい出来事がありそうな予感をはらんでいるのでありました。
親子丼がむしょうに食いたくなっていたのであります。
昼にいろいろな食堂を見て回りましたが、気が狂ったようなこの気持ちとつりあう親子丼をやっているところはありませんでした。
ならば、自分で作るしかございませぬ。
汁ダクで、紅生姜のたっぷりとのった親子丼。三つ葉もなくてはなりませぬ。
「おなかが空いたときにスパゲティをだされたら、スパゲティで我慢するものよ」
とは忘れましたが、有名な映画で女優の名言でございます。
たしか「旅情」のキャサリン・ヘップバーンでしたかな…。
女に飢えているなら、とりあえず私で我慢しなさいという意味なのでありましょうか。
しかし、私メが飢えているのは親子丼。
いわば相手は決まっているのであります。
相手は決まっているのでありますから、どうヤルかの問題なのでありましょうか。
「娘には手を出さないで」
という問題でもございませぬ。
「おじさまはママと恋愛してたんでしょう」
ということでもございませんです。
純粋に親子丼を求めているだけなのでありました。
とにかく自分でこしらえて満足いたしました。
南蛮をぶっかけてゾリゾリと胃袋に叩きこんだのでありました。
メデタシであります。
春の夜の嬉しい出来事の予感の余韻にひたりつつ。