03.14
「還付申告者と、納税申告者を別々に並ばせろ!」
と危く怒鳴りつけるところでございました。
多くの方々は不遜なことを吐くヤカラだと気分を害するかもしれませぬが、納税する立場とすれば、何もかもが腹立たしいのであります。
氷雨に濡れつつ申告が終るまで1時間も寒さにふるえ続け、心の中は殺意でいっぱい。
そもそも易者は資格などで国から守ってもらえぬ身の上。ホントの無頼漢であります。
なのに納税を強いられるくやしさ。
けれど、易者をしている以上は、儲けなければ誰からも信用されることはありますまい。
まぁ、いいさ。
納税と考えるから腹が立つわけで、これは日本というホテルに払う宿泊代だと思い直せばイイわけであります。
これからも好きなことを言い、それがいかにクレームを浴びせられる言葉だろうと、かまわず発言しようと心に誓うのでございました。
そして、謝罪せよと迫られ、たとえば記者会見などの席に立たされたなら、「こりゃぁ! さっさと戦争をしろ!」と怒鳴ってやろうとありえない妄想にこめかみの血管が破裂するほど膨れ上がるのでございました。
あるいは詰め寄る正しい者たちの首を両腕に抱えて、ワッハハハッと高笑いし、窓から飛び降りて道連れにするなどの妄想も…。
指先までかじかんでしまい、こうなったら藤沢一の高級料理屋で気分を変えるしかございませぬ。
美味い料理は、こういう時の最高のお薬でございます。
牛のロース肉を超レアで注文し、その依頼通りの焼き加減でテーブルに並べられると、「おおっ」と感動に言葉を失ったのでございます。「脂身も追加で」と頼みますと、「脂身ですか?」と、料理長がお出まして、そのお年で脂身は…てな表情をされましたが、かまわず「脂身を」とかさねて注文。
ワイパーで雨を左右にふりわけるたびに現れる濡れた海岸から続く雨の街並みを車をグラシア・スサーナの歌を聞きながら眺めるのでありました。殺意は去り、イイ気分でありました。
「ううっ」
ふいに、超レアの脂身のヤツがきました。藻屑現象でありました。
ハンドルをセブンのパーキングに切り、腹をおさえ…ブビビビッ。
複雑な日本というホテルに滞在した1日の出来事でありました。