2016
03.16

古い携帯電話が引き出しの奥にございました。

電源を入れましたら起動するではありませぬか。もちろん通話はできませぬ。しかしメールがそっくり残っているのでございました。

湯豆腐をつつきながら、そのメールを開いていくと赤面してしまいますです。

おお、もはや記憶から消えかかっているお女性とのやりとりなのであります。

1999年3月の履歴。
17年前の出来事でございます。

「今夜逢いたい」だとか「ソーセージ食べさせて」だとか「生理がおわったよ」だとか、ああ、そうだった、そういうお女性だったと、手が届きそうなほど間近に思い出されるのでありました。

愛欲とは恐ろしいものでございます。

彼女との肌の相性の良さに悦んで溺れつつも、その快楽から逃れるすべを別のお女性に求めていたりもしていたのであります。

動画も残っておりました。
当時の携帯動画ですから不鮮明で、しかも5秒ほどでございます。

そこは走っているクルマの中でありました。
彼女は携帯に向かって笑い、いっしゅんシャツを捲し上げてオッパイを見せたのであります。

私メはなんども動画を見直しました。

彼女はなんども、そのつど笑い、オッパイを見せるのであります。

音声はききとれませぬ。何か喋っているのですが夢での会話のように内容が理解できませぬ。

背景も不鮮明に流れています。高速なのか海辺の道路なのか。
彼女はそれでも笑ってはオッパイを見せているのでありました。

あのオッパイはどーなったのであろうか。

彼女のその後の運命より、形よくむき出しになった二つの隆起はいまも健在だろうかと案じるのでありました。

ためいきを落し、携帯電話から電源を外し、また引き出しに戻したところなのでありました。
やばいやばい。