2019
05.22

十傳スクールを始めてから、八年ほどになりましょーか。
ずっと、テキスト作りに力を傾けてきましたです。

師が、黒板に書いたことを、ノートに写し取るという経験をしてきたので、テキストの必要性を身に染みて感じていたわけであります。

師はたまに手抜きをいたしますから、先輩方から袖の下を通じて、ノートをお借りし、自分のノートと照らし合わせてチェックしては、テキスト作りをしてまいりました。

相当な分量になりまして、研究者たちには垂涎のモノでありましょう。

が、これらのテキストを、一般の出版社から本にするつもりはございませんです。
二三千円で売られては迷惑。しかも印税10パーセントそこそこでは…。

師匠の一人は、以前、こんなことを仰っておられました。
「本は安すぎる。小説などの空想のものとは違うのだ。先代からの知恵の集結を、そこらへんの本屋で安く並べられては困る。医学書などは一冊、20万円のものはざらにあるではないか」
と。

儲けにかけてはお上手な師匠のお言葉でございます。

けれど、儲けとは別に、占いを存続させるためには、安易に出版物にして流出させることは危険なのであります。
後に続く占い師のメシの種を残しておかないと、占いはすぐに途絶えてしまい、適当なデタラメ占いがはびこってまいります。

デタラメ占いの作り方は、簡単。当たっているように作ればイイのでありますから。
しかし、伝えなければならない占いというのは、
「はあぁ、人間とはこういうものか」
という視野に立っているところに相違かございます。

後につづく占い師のメシの種と申しましたが、それとは、また別の理由で、安易には出版させないという気持ちもございますです。

いくつかの出版社からオファーが来ていて、それをお断りしている次第であります。
何も知らない編集者に、
「上のものから言われたのですが」とか「営業のものが言うには」
などで、テキトーな内容にすることはできないのであります。

出すなら、十傳出版を立ち上げる所存であります。

それにしても、師の知識をテキストにして、はてはて、それで良かったのかどうかと、疑問に思い始めてもおりますです。