2018
11.15

夏の間、あれほど手を尽くしたのに、まったく反応もないバラでありました。
むだに葉っぱだけを茂らせていたのです。

「んだは、知らねぞ」
と諦めたとたんに、蕾をつけ、画像のごとき花を開かせたのでございました。

断易で言うところの「世空者即至」。
つまり期待しているうちは、待ち人だろーと、メールだろうと、希望だろーと、けっして来ることはない。気を逸らし、そこからパワーを抜かなくては、来るものもこれないのだ。という意味であります。

恋でも、待ちつかれて、トイレに行ったりした瞬間を突いたようにして電話があるということは、皆様も経験があるかと思いますです。
「女などどーでもいいや」
と背中を向けたとたんに複数のお女性からアプローチされるという不思議もございます。

セレスYという仮面の美女占い師が、むかし存在していました。パフォーマンス占い師で、日本テレビの占い選手権だったかの番組で知り合いになったのでありました。

とてもファイトのある自信家で、積極性にかけては誰にも引けをとりませぬ。
「ああでなければ、テレビの世界では生きていけないのだ」
という見本でありました。

彼女は本を出したいというのが、彼女の本音でございました。
それで、積極性をフルに活用し、いろいろな出版社を回ったのでありました。
ところが、世旺者不至とでもいうのか、パワーを押し付ける形となり、すべてダメ。

いまだに一冊も自分の名前で出しておりませんです。

すでに60歳近く。美貌も崩れ、くちびるの周囲に小皺が目立つようになり、いままでの派手さがたたってか、実年齢より10歳も老けておいでです。
数日前、偶然に、神保町の横断歩道で彼女を見かけました。
まだ世空者になっておらぬよーで、売り込みをしているのか…と、そのひどく深刻な老け顔が痛ましくて、声をかけられず仕舞いでありました

それにしても薔薇は11月の庭を飾っているのでございますです。