2023
07.14

父方の祖母が、私メに宛てた最後の手紙でございます。
お盆になると、ふと開いてみたくなるのであります。
明治32年生まれでした。
あまりに古臭い考え方に反発したこともたびたびでございました。

祖母が70歳のときの名言がございます。
「こんご、おらはボケていく。んだから、こんご、おらの言葉を真に受けてはわがねっつぉ」
これでありました。
結局、99歳で死ぬのでしたが、97歳の時、
「おばあちゃん」と尋ねたことがございます。
「死ぬのはおっかねっか?」
すると、うんうんと目を閉じて、
「おっかねぇ、死ぬのおっかねぇおんやぁ」

私メもいつか、このよーな手紙を誰かに残せるのでありましょーか。
残す対象がいるのでありましょーか。
自分の言葉を信じてはいけないと言える相手がいるのでしょーか。

施設で、介護のおねぇさんに語ったところで、はいはいといなされるだけでございましょー。

死ぬことを怖がっていた祖母でしたが、おかっながらないよーに、ゆっくりとボケていき、そして静かに息を引き取ったのでございます。