2023
07.21

時は夢のよーに過ぎるものですね。

散歩から戻った犬が、部屋の中を丹念に嗅ぎまわるみたいに、私メもモリオカにかえると市内のいたるところを巡ってしまうのであります。

すでに昔の面影は、新しい建物に塗り替えられ、見知らぬ町並みが展開しているのでございます。

土蔵のよーな建物をみつけると心が安定するのは、自分自身が老いたためでございましょー。
当時は、しかし、このよーな土蔵を意識して眺めたことはなく、通り過ぎる通学路の風景の一つとして記憶されているにすぎません。

中学校の校舎も、ずいぶん前に新しくなり、その新校舎を見るのは恐ろしいのであります。
校門はそのままで、図書館や美術室は完全に失われているとのこと。

教えてくれたのは同学年の女子でございました。
それもずいぶん前のことで、子供が同じ中学に通っていて、父兄会などで新校舎に入らなければならなかったということでした。
が、いまでは子供も中年にいたり、もしかするとお孫さんが中学生あたりではないかと。

そーです。
建物だけでなく人間もまた塗り替えられているのであります。
「あれ?」
同じ顔つきをした少女が横断歩道を渡ったりしていまして、クラクションで合図をしようとする直前で、彼女はすでに老境に達していたんだっけ、幻から我に返るのであります。
卒業文集に、将来の夢として、「わたしは立派な母になります」と残した、その女子もまさか60代の婆さんになることまでは想像のそとにあったことでありましょー。

私メの記憶も、いくつの場面がフラッシュバックいたしますが、すべて静止画像でございまして、動かないのでございます。