2023
07.31

カラスミをいただきました。
大人の味でございます。

子供の頃は、なにが美味しいのだと不思議だった食い物が、ある年を境に、
「こんな素晴らしいモノがこの世にあったのか!」
激しく感動するものがございます。

酒やタバコは、大人ぶって無理矢理ヤリ始めるのですが、カラスミの美味しさは突如として分かるのであります。

京都の旅館で住み込みのバイトをしていたとき、宴会客の残した燗冷ましのお酒を仲居のオバちゃんと、みんなで飲み交わしたモノであります。
そのとき、差し入れだと言ってカラスミを持ってきてくれたのが吉田のおっちゃんでした。

吉田のおっちゃんは断易が得意だと言うことはいつかお話しいたしましたね。
流れ者で、じつは奥さんを刺し殺し、逃げ回っていたと言うことも。
そして警察の手入れがあった朝に、吉田のおっちゃんはどこかにトンズラしていたということも。

その吉田のおっちゃんの差し入れのカラスミを、チーズを囓るよーに食ってしまって周囲に、
「オノはん、オノはん。これは超高級品でっせ」
ひんしゅくをかったものでありました。

カラスミの美味さを知ってから、秋になると鮭の精巣でカラスミもどきを作ったり、城之崎の魚屋の店先で自家製のカラスミを求めたりしたものであります。
「いつかはカラスミをいっしょに」
などと「誓い」をたてた相手を思い出しつつ、日本酒の美味しくなる秋まで保存しよーかとも思っているの手あります。