2023
07.15

仕事を終えると愉しみのお時間です。
部屋の照明を絞り、そして、グラスに氷を落とし、ウィスキーの液体をそそぎ、それからおごそかにアルコールを味わう、至福のこのひとときを一日のおわりに迎えられるというのは、じつにしやわせなのであります。
「よい一生であった」
いちにちを人生の縮小と考えるのです。

まだ健康でございます。
まだ男の機能もなんとか保っております。
まだ頭も時代についていけています。

三杯目から、後頭部が痺れだし、タバコに火をつける。ふかぶかと喫煙し、とろとろと煙をもらします。
つまみ類はいっさい口に致しません。とにかく一直線に飲み続けるのでございます。
つめたいグラスを頬にあてたりもいたします。

すると、突如として過去の或る記憶が脈絡もなく開いてくるのであります。
それはソロキャンプの思い出であったり、秋の山で道に迷ったりしたときの記憶であったりいたします。真冬の雪のなかで自転車を走らせたりしたことなども。みな一人でいる回想なのであります。
ときには、或る人の40年前に言われた言葉の本当の意味が、
「そーだったのか!」
と明確に理解できたり。

それはバーや居酒屋では体験できない愉しみなのでございます。
寝るだけですから手加減せずに酔っぱらえるのです。
大きめなシャツ。パンツははかずフリチンであります。

が、こーなると生身のお女性は邪魔でございます。

もう活字も音楽も不要になり、さいごに氷を追加し、ウィスキーをなみなみに足して、喉に流しむのでございます。真水を二杯、これも喉を鳴らして飲み干し、これで終わり。

もはや夜の愉しみがなくしては、熟睡できません。翌日の大便もとどこおるのであります。
休肝日だとか笑わせますです。