2011
04.16

肉を食えば精力がつくとおもったら大間違い。
野菜こそが精力剤なのであります。

が、私は野菜を好みません。
とくにサラダは苦手であります。
口の中が泡だらけになるばかりでなく、どこまで齧ったら飲み込めばよいのか分からなくなるからです。ために牛のようにいつまでも口をうごしてしまう始末。

そこで、春キャベツを真っ二つに割り、それを四等分して、ステーキにいたしたのであります。
味つけは塩コショウのみ。
オリープオイルで焼きあげるのであります。
食う時はバルサミコをぶっかければじつに美味であります。

股間のあたりがムズムズするのは、この春キャベツの効果なのでありましょうか。
それとも精神的な作用なのか。
生温かい春の夜には最適な料理であることはまちがいありません。
冷やして水滴のついた白ワインをグラスに注ぎ、そのまましばらく置くと、白ワイン独特の甘い酸っぱさがじんわりと胃袋を温めてくれます。

そして、またキャベツの葉をはがしナイフで芯をカットすると、酔いつぶれた女のように銀色のフォークにみずから巻かれるのであります。
焦げ臭さが口のなかにひろがり渋い優美でメローな液汁をほとばしらせるのであります。