04.27
モリオカ・バスセンターという、なんともローカルな雰囲気のする、しかしかつては市内の中心地だった建物から、深夜バスは出発するのであります。
みな地味に見えるのはジャンゴタレだけではなく、このバスセンターが原因しているのであります。
高校二年の春、私は学校をさぼってここから自動車試験場にいき、三度目で自動二輪の運転免許証をとったのでした。
そういうことを考えていますと、「舟がでるぞ~!」みたいに係りの人が肉声を張り上げるのでございました。
いよいよモリオカを脱出するのであります。
やく一週間の滞在でありました。
新幹線がまだ十分に復旧していないために利用客が多いらしく、東京へ向かうバスは5台。
バスセンターを22時55分に出て東京駅に6時30分あたりに着くとのことでありました。
…と、ここまでは私ははじめてのバス体験にすくなからず心を躍らせていたのでありました。
モリオカの知り合いに飲み物は用意しておいた方がいいと言われていましたから、ミネラル水をバッグの中に。
そのほかに「ピリッと焼きかまぼこ」も。
真っ先にバスに乗り込んだのでありました。
楽しかったのはモリオカ駅に立ち寄ったわずか15分まででありました。
バスは東北縦貫道をひたすら南下するのであります。
窓はカーテンで覆われ、正面の窓すらもカーテン。何も見えなくなったのでありました。
そして消灯。
完全な闇であります。
「手元の照明はすぐに消すこと」
なんて命じられたのであります。
そればかりか、途中のパーキングエリアでの休憩もないとのこと。パーキングで三回ほど停車するらしいのですが、それは運転手の交代をするだけのため。
じっさいにパーキングで停車するのですが、そのときほど閉じ込められたという気がしてしまうのでありました。
どこを走ってているのかも分からないのです。
息が苦しくなり油汗がにじみ、発狂寸前でございます。
「スケベなことを考えて心を落ち着けよう」
と自分に言い聞かせるのですが、そんなときに限ってスケベなことが出てきませんのです。
しかたなくipodを取り出し、古い音楽を聴くことで急場をしのいだのであります。
とてもじゃありませんが眠れたものではございません。
で、ありますからバスが高速をおりて王子あたりまで来たときはホッといたしました。
なんと東京は美しい街であることかと感動すらいたしましたです。
そして、乗ったと時とは別の意味で、やはり真っ先に下車したのでございます。
プス~と放屁しまして、神楽坂の事務所へとたどり着いたというわけであります。