2011
08.29

だれがだれと恋愛しようと、本人たちの勝手なのでございます。

神戸にきて、ふと以前の瀬戸内海クルーズが懐かしくなり、一時間足らずの湾内観光をいたしたのでありました。
それは神戸の男女のデートスポットとはまったくしらなかったのでございます。

関西なのだなぁと羨ましくなるような大胆な愛の表現をくりひろげる恋人たちのなかで、私メときたら、ひとりセルフ撮りをするのでございました。

メクラ撮りしても、こういう恋人たちが入ってしまうのでありました。

美醜がなんであろう、老いらくの恋のどこに羞恥があるものか、純愛だろうとそうでなかろうと、禁断の愛であったって、この地球で出会ったことを全身で謳歌しようという関西の恋人たちに圧倒されるばかりなのであります。

すべての事象は愛を可能な限り演出するために存在するのだと訴えているかのようであります。

おそらく恋人たちには、神戸の異国のような海が、それは美しく見えていることでありましょう。

その愛がどのような結末を迎えるかなんて関係ないのでありましょう。
全身を性器にさせ、それだけを愉しんでいるのでございます。

愛欲のパワーに当てられて、私メは南京町に迷い込み、人づてに聞いた店で、「イカの揚げ物」を食うことにいたしました。

最初はソレほどでもありません。が、しばらくたつと、老酒に絡まるように口の中が揚げ物独特の臭いが、やめられない美味に変化するのでございます。

店内には、やはり恋人たちが、ほとんど「イカの揚げモノ」を食っております。

「イカ食べるのは深い仲やっていう証拠なんや」
そんなことを聞いたおぼえがございます。
「それにな、イカを食べはると、あそこが臭うんやて」

クルーズで乗船した恋人たちは、いまごろは嗅ぎあっている頃なのかと、暮れなずむ神戸の海をおもい、腕時計に目をやるのでありました、