2013
07.26

雨の中を新幹線は北へと走るのでした。

東北新幹線、秋田こまちは八割の確率で、隣に誰も座りませんです。
なのでグリーンを使うよりも、ずっとお得。

しかし、今回は、前の座席のおっさんの煙草の口臭が後ろの座席になびいてたまりませんでした。
そのおっさんは、お喋りなお方でして、仙台まで降りるまで、断続的に臭ってくるのでございました。

しかし、張りつめていた神経が、北へ北へとつっこんでいくに比例して、ほどけていくのが分かるのでございました。

以前は深夜の11時に出る「岩手三号」という急行に飛び乗り、翌朝の8時15分あたりに「モリオガー、モリオガー」と連呼するアナウンスに起こされたものであります。
するとそこは一面の銀世界で、雪がしんしんと降っていたのであります。
しかし、いまは夏。
そして新幹線。
わずか2時間30分の帰省でございます。

何はともあれ、ホヤ貝を買わねばなりませぬ。
三陸モノは震災後はとれず、これは青森産。
やや、サッパリ味でございます。
「おなかが空いたときはスパゲティで我慢するものよ」
どこぞの映画のセリフでありますが、背に腹はかえられませぬ。
海のオッパイ…ではなくパイナップル。
「んだは、こっちで暮らせばいがえんちゃ」
と老母は言うのであります。
「もうじぎ、三陸産のホヤもでるがら」
「あと6年したらね」
と答えるのでありました。

先日、ボケの最中に、うっかりと、しなくてもいい契約をしたために、引退時期が繰り延べられてしまったのでございます。
講習やセミナーの皆様には見せていない赤鬼の顔で、勧誘員を怒鳴りつけたのですが、後の祭り。
ま、フフフ、奇門遁甲の実験台になってもらう腹づもりでございますです。

「やさしい気持ちにならねば…」
と老母の心配そうなお顔を眺めつつ、久しぶりのホヤを賞味するのでありました。

デローンと気持ちがくつろぐ美味でございすます。
「夏はホヤだなぁ」
と心はみるみるなごみのモード。

弱り果てたハートが、ドクン。
股間もズクン。
ドクン、ズグン、ドクン、ドクン、ズグン、ズクン、スグンと脈うってくるではありませぬか。

「ああ、誰かを傷つけたい!」
というところまで回復するのですから、ホヤの効果は素晴らしいのでございますです。

鳥の手羽を煮込み、冷やした煮汁に、うどんをぶち込んですすれば、体力は45歳…いや49歳かな。

「なぬー、あの卑怯面の前復興大臣の平野達夫が選挙で当選しただと!」
と、岩手県の前途を憂うほどまで復活。

あとは大通りの歓楽街で、
「モリオカのクソども、全員、明治橋の向こうまですっこんでしまえ!」
などと泥酔の雄たけびを放てば完了するのでございます。

翌朝、のどの痛みで羞恥とともに、前夜の乱行のこま切れを思い出そうともであります。

明治橋の向こうというのは、刑場や遊女宿のあったところでして、いまは住宅街。
「すっこんでろ!」
と叫ばれても、ダレ一人、その意味を理解してくれるお方はおりませぬのです。
たとえ、そこはエタ非人の部落だと意味を知るお人も、
「モリオガにすんでね、あんたに言われたぐねぇ」
などと反論する程度。
「住んでねくても、モリオカはオレのものだおん、オレだげのものなんだおん!」

…十傳会員もずいぶん増えまして、日々のメールのシステムのグレードを上げなければなりませぬ。
しかしモリオカでの私メの発狂は、知らぬうちに伝播しているのでありましょうか。
地元の会員はわずかに1名。

高校の頃も地元住民に嫌悪されておりましたけれど、今も変わりませぬ。
海に毒をまいて、ホヤを食わせねぞ、ハ。