2016
05.09

カセットテープを聴いているのでありました。

あんなにもテープの時代だったのに、もう誰も見向きもいたしませぬ。
家電量販店で3500円の再生機を購入し、物置からテープを持ち出してセットしますと、懐かしい音楽が流れだしました。

巻き戻しボタンを押して、また同じ曲を途中から。

いにしえの風情であります。

私メは正真正銘のカセットテープ時代の人間であります。
ソニーの最初のテープレコーダーは27000円でしたか、英語の勉強で絶対に必要だと先生が言っていたなんて嘘を言い、親を騙して買ってもらったのでありました。
むろん、英語など聞くわけがなく、歌謡曲。
それも、ナマ禄。エアチェックなどまだまだ先の時代であります。
マイクにタオルを巻くと音質がイイとか誰かに聞いて、テレビのスピーカーに当てての録音なのであります。
不意に襖があいて、父親が「なぬしてるんだ」と野太い声を上げるものですから、すべては台無し。手振りで静かにと制するのですが、「なぬした?」となおも。

キャンプのテントの中で、親父の声が出るものですから、みなで大笑い。青春でありました。

学校に持っていき、隠しドリした好きな女の子の声を家で何度も聞いたものでございます。

きっと、まだ郷里の納屋のどこかに、それらテープがあるはずであります。

しばらく、テープにハマりそうでありますです。