2011
07.08

さいきんロメオは階段の上り下りをおぼえてしまい、私が三階の自室で仕事をしていますと、昇ってきてドアを叩くのであります。

そして、ほれ、このようにTシャツのなかにもぐりこんで、うたた寝をはじめるのであります。
イヌも夏バテなのかもしれませんですね。

つい私までつられて、こっくりこっくりとなってしまうのであります。

宅急便がきたりするなど、べつのモノ音に興味がそそられるまでこうしてふぬけておりますです。

ところで、ロメオの後ろ脚の爪は、両脚とも、一本だけ白いのであります。

犬種的にどうなのかはわかりません。たとえばイヌの品評会などで、白い爪のあるイヌは失格となるかもしれません。

けれど、ペットショップで、とうじ病気のためにぐったりしていたロメオを迎えようという決め手になったのは、この白い爪でした。

髪の毛のひとにぎりぶんだけ赤っぽい女の子がいて、気づいたときには惚れてしまっていたことがありました。
首が長く腰と太ももの太い花瓶のような女をモディリアーニの絵のようだと魅せられてしまったこともございました。

ロメオのこの爪を私はとても気に入っているのであります。

男とは、いや女もかもしれませんが、このような妙な特徴に惹かれて恋へと迷い込んでしまうのかもしれませんですね。
趣味趣向とは分からないものであります。

ペットショップでは風邪をひき、皮膚病で毛の剥げたところもあったロメオでしたが、そのような病弱だった頃のことなど忘れたかのように、一階から三階まで、そしてまた一階へと走りまわっているのであります。
いつか骨折するかもしれませんけど、そのときはそのときのこと。
心配していたらキリがございませんですもの。