2012
07.12

占いだけでは信憑性が危うくなってきたのか、最近は「占い心理カウンセラー」などと、妙なキャッチでやっている易者が増えましたでございますです。

占いと心理カウンセラーが似通っているのは、どちらも無資格で開業できるところくらいで、あとはまったく別の分野なのであります。

心理カウンセラーが、刑事事件などで重宝され、いまや昔の陰陽僚的な立場を築きつつあるのには、理由があるのでございます。

それは、心理カウンセラーの目的は、「気違い」を直すことだからであります。
発狂者を治療するのではございません。あくまでも「気違い」であります。

気違いという意味は、別の「気」にあるものを、自分たちの「気」のなかに入れようとするという意味の、「気」の理論なのであります。
つまり、風変りな人物を、社会になじませ平凡な生活を送るように仕上げることが心理カウンセラーの目的の究極でございますです。

おなじ法律を守り、おなじ考え方の元に集結させようという国家の目的と結びつくわけであります。

が、占いは、その点が根本から異なっているのであります。

「お前は、この輪の中では暮らせない。輪の外で生きる方法を見つけるのが幸運の基本だ」
こうなるのであります。
「気違い」をもっと激しい「気違い」にすることに目的を置いているのでございますです。

かくいう私メも、心理学教室に四年ほど通いましたけれど、講師とさいごまでソリが合いませんでした。
いつだったか、生徒に、大切にしている何かを絵に描かせ、それを別の生徒に、どうして大切なのかを推理させるという授業がございました。
こういう推理とか当てモノは、得意でありましたから手を上げたのであります。
そしたらば、40歳ほどのお女性が、大福餅を描き、私メに提示いたしました。

「ほほぅ」と、完全に易者に戻り、「それは、娘との思い出だな。さしずめ別れた亭主との間にできた娘で、それを公園かどこかで貧乏たらしく食ったわけですね」

これが的中しまして、ところがお女性は、
「あなたに何が分かるんですか!」
と逆上されたのでありました。
好みのタイプじゃなかったので、私メも
「そんなことで怒りだすところが、娘があなたを捨てて、父親との同居を選んだ原因であることは分かりますねぇ」
と皮肉をぶったのでありました。

ほんと、心理学教室に通うお女性は、色気がなくへんに勤勉なのでありました。
美女は早々に通うのを止めていったものでございます。

無念…!

四年間の教室通いはほとんど収穫なしで終わりましたが、いまは鑑定のテクニックの上で多少は役立っておりますです。

易者が、心理学的なことを言うたびに、私メは心の中でしかめっ面をしているのでありました。

占いは心理学でもなく、宗教でもない、非常識な理論で運命の仕組みを解明する気違いの分野なのでありますです。