2012
07.13

墓場だったところに家を建てるのは大凶。

このようにオバちゃん占い師も霊能者とかも口をそろえて語っていますですね。

でも、この地球上で、死体のない場所なんてありますでしょうか。
水上生活者くらいなものでありますです。

まあ、「ここは墓場ザンした」なんて聞くと、イイ気持ちはいたしませぬね。
辻堂などは、古地図を見ますと、墓場だらけでござんした。
いまでは住宅が建ち並んでおりますです。

墓場だったところに家を建てるのが大凶だとすれば、辻堂はすでに滅んでいてもおかしくございません。

「ちゃんと霊を鎮めればいいんだから」
なんてオバちゃん占い師に言われたって、いまの霊媒師だか神主など信じるに足るお方はございませんです。
適当に祝詞をあげて霊が鎮まるのであれば、苦労はいたしませぬ。

が、やはり墓場だったところは大凶なのは事実なのでありますです。

もう、40年も前のことですが、イチバン上の叔母が亡くなったのであります。
雨の続く六月のことでありました。

叔母の嫁ぎ先は、石鳥谷という田舎でありまして、以前は土葬だったのであります。
叔母の遺体は火葬にふしてから、墓石の後ろに穴を掘って埋めましてございます。

ところが一週間後、お骨がなくなったと大騒ぎになったのでありました。
駆けつけるとお骨を埋葬したところがポッカリと穴があいているのであります。
「盗まれた!」
「前の亭主ではないか」
と、警察沙汰になったのでございます。

真相が解明したのはしばらくしてから。
長雨で、ずっと前に埋葬した底にあった棺桶が崩れ、連鎖的に叔母の遺骨もその深い穴に落ちたというわけであります。
三メートルほど下から遺骨が見つかったのでありました。

「ご先祖に抱かれるようにして、ほんとはいがったんでねのぅぉ」
「んでも死んでもなにかと騒がせる姉さんだったなっす」
と一件落着。
とんだ怪談話でございました。

かようなわけで、墓地だったところは地盤が弱いのであります。
液状化現象が発生しやすいのであります。

なので、大凶ってことなのでございます。

てな、なかなか味のあることを満載した単行本が10月に学研から発売されるのであります。
いま、原稿の下書きを見直しつつ、ピックアップしてご紹介した次第でございますです。