05.15
花の季節らしく、つぎからつぎへと新しい花がはなびらを誇らしく広げているのであります。
街は花の色と香りで満ち、日の光も花のきらめきには劣っているようにも感じますです。
少女がまたたくうちに大人になるように、花もまた実をつけるのに時間は要しませんです。
実をつけるために花を咲かせることを、ド~してか忘れるものでありますが、花は人間の目を和ませるために咲くのではなく結実させることが目的なのであります。
そうすると虫を呼んで受粉するわけですから、花はその蜜と花弁で虫を誘惑しなくてはなりませんです。とするとですよ、虫も花の美しさが分かるということになりますです。密の甘さだけではなく、花弁の鮮やかな色が必要だということになりますと、美という本質も人間だけに通用するものではないのかも、などと余計な空想に入り込むのでありました。
昨日、自慢げに咲いていた花も、カバラ朋美のように萎れておるのでございました。
なんとなく、ざまぁ見やがれっていう気分に駆られ、たいそう機嫌よくなるのでございました。
「毟ってさしあげましょうか?」
と悪意のこもったジョークも発したい気分になるのでございました。
小生意気なお女性に足をかけてひっ転ばせて泣かせたような残忍さも噴き出してまいりますです。
しかし、憎くて恨んでそうするのではありませんですよ。
可愛い女の子のスカートをめくってしまう少年の気持ちにも近いのでございますです。
ほーら、春先に人々の目を留めた梅の花は、見事な実をつけております。
あの可憐な桃色の花だったことが嘘のようでありますけれど、じっくりと見ていると、この実もまた色っぽいではありませんか。
齧って「いたーい」と悲鳴を上げたさせたくなるのでありました。
ともあれ、男と女の関係は単純で複雑。
個性的で没個性。
いろいろでありますが、滑稽という二文字で解決されるようなものかも知れませんですね。