03.25
三月のモリオカは、野の花がところどころに咲きながら、その領分を広げてゆきます。
来月になれば雑草の見分けがつかなくなるので、本当は、今のうちから根こそぎやっつけておく必要があります。
しかし、毟り取るには、いささか良心がとがめるほどの可憐さ。
土のどの成分を吸って、このよーな絶妙な色彩で花開くのかと思える神秘の力を宿し、それはまるで、か弱いお女性に対して無力化する男に似ております。
目をつぶって毟り取れば、一生涯、男の心の傷として残ることでございましょう。
四柱推命でいえば、長生の強さであります。
奇門遁甲でいえば、龍遁。
乙の吉格に、龍遁、虎遁、風遁、雲遁がありまして、もっとも強いのが、天盤乙が北東にくる虎遁。北東は丑寅の方位でありますから、処を得た強さなのであります。
対して龍遁とは、天盤乙が北西に来る場合。北西は戌亥の方位。亥ー卯ー未の三合でいえば、亥の長生に当たるのであります。
少年の如く、力は弱いけれど、その成長力は目を見張るばかり。
ですから、この野の花を放置しておくことは、雑草繁茂の原因となりますから非常に危険なのであります。
いまのうちから庭の野花どもを退治しないと、夏場は手の付けられない状態になりますです。
このバッケは、いわゆるフキノトウは、退治しても罪の意識に問われませぬ。
摘み取り、軽く湯がいて食卓に出せばすむこと。
またバッケの根は深く放置すれば、やがてはあたり一面がフキだらけになるのであります。
ちなみに四遁のうちの雲遁は、もっとも弱く、なぜなら雲遁は天盤乙が南西の未に位置した時。亥ー卯ー未の墓に当たります。そのため、南西の天盤乙は雲遁と乙奇入墓が同居することになるのでございます。
バッケは、さしあたり乙奇入墓として、凶格ですから毟っても大丈夫。
「よくやった」
褒められることはあっても、咎められることはございませんです。
この三合は、恋に置き換えることも楽しゅうございます。
恋のはじめと、恋の真っ最中。そして晩恋として。
早春の庭を一巡りしまして、
「とにかく刈り取らねば」
心を鬼にしなければ、良い庭は作れません。
家を建て替えたために、せっかくのお庭が破壊されているのでございます。
「ここを掘り、あそこに石を設置し…」
庭の極意は女体を模することにあり。
明日は、長くつに履き替えて、長正征伐でございますです。