2022
05.23

老母と、郊外の蕎麦屋で、はこべの天婦羅を食ったのであります。
画像の手前は、ウド、そしてしその葉。はこべは、そのうしろであります。

「分かんねぐなったおんや」
と老母。
何だべと聞いていると、アパートの部屋代を滞納しているお方が数人いるよーだという話であります。
「もらっていて、それで忘れたのかも知れねし」

家賃のノートを見ましたら、
「うん、たしかに」
記帳するのも忘れたかもしれないと老母は言うのですが、いや、今年作成した確定申告書を思い出し、「ボケ老人だと、ナメられているかもよ」

家賃の受け取りを、老婆は、戦前の昭和初期の頃のように、現金で受け取っているのであります。
月末になりますと、その対応を玄関先でしているのでした。
しかも、「頑張らねば」とか「大変だべんとも、真面目にしていれば報われるんだから」などと説法も加えるのでありました。
それが、昨年あたりからかなりボケているのであります。

老母は、最近、仲の悪い野良猫がおりまして、
「ジッ、シッ」と追い払おうとしても、その肥満して貫禄ある猫は、薄笑いをうかべ、老母を睨んでいる現場を見かけたことがございます。

「しやねなぁ」
蕎麦をすすりながら、知り合いの不動産管理会社に電話したのであります。

急いで実家に戻りましたら、すぐに担当者が見えました。
「よくあるのですよ」
の社交辞令からはじまり、手慣れた所作で、テキパキと契約書を取り出して、その場で完了。

そーしましたら、どう調べたのか、丸一年間も払っていないお方が三人もいたのでありました。
「取り立てに行ったら殺されるんでねがと思ってさ」
なーに、ちゃんと知っていたのであります。

老母と仲の悪い猫は、私メがモリオカに帰ると、あまり姿をみせません。
すると小鳥たちも安心するのか、庭のベンチに腰かけてタバコを喫していますと、その小鳥たちは、手水で水浴びなどして伸び伸びするのでございます。