03.10
相談者の成否を決める刻限が13時。
トップ会談が迫っておりました。
青龍返首の方位を用い、つまり青龍返首を使ったのはこの場合に限り、相手側との交渉に有利であるとする行軍三奇の秘術を選んだのでございます。
勝つための秘策を使ったのであります。
そして、私メは遠隔の呪術を。
ところが、事務所の時計が止まってしまった…。
相手が強すぎたりする場合、こーいう現象が起きますです。
あるいは何かの手違いがったか、のケースであります。
敗戦の連絡があったのは2時間後でございました。
相手側の防備が固く、会社のトップではなく、足軽大将との交渉となったという話でございます。
足軽大将とでは、方位効果は、無作用としての効果になってしまいます。
「やられたか?」
占い、とくに奇門遁甲では、当たり外れという素人判断ではなく、つまり的中と逆効果で見るほかに、無作用、別作用など別の角度での判断が二つ用意されております。
これは講義の内容に抵触するので割愛しますが、とても大事な考え方なのでございます。
占術、戦術でもイイのでありますが、いつ、だれと、どのように対峙するのかを易者側で正しく把握しておかねばなりません。それが欠けておりました。
このたびの術は、城主、あるいは副城主との対決であり、それが足軽大将であっては標的が定まりませぬ。
負け惜しみのよーではございますが、行軍三奇で勝利したとしても、城主を倒さねば、遠隔の呪術も煙に等しいのでございます。
断易を見直すと、大吉の卦ではございましたが、父母爻の欠落が唯一気になる点。書類の不備だろうと判断し、その点を注意として念を押しておりました。
書類の意味もありましたが、それ以上に原因していたのが、味方側からもたらされた情報の虚偽、これが父母爻の問題点として、卦は告げていたのでありました。
具体的に言えば、城主あるいは副城主との対決と聞いておったのが、虚偽で、じっさいは足軽大将が相手だったのでございます。
敗北する原因の多くが、味方の造反でございます。
それは重々に分かっており、これまでの卦にも表れていた事だったので、私メは激しく悔やんだことでした。
まずは敗戦することもあるというお話なのでありました。
見ると時計は動き出しておりました。
次なる決戦には、この轍を踏まず、勝利を挙げるぞと、心に誓うのでありました。