2017
02.04

まるで奇門遁甲の方位盤のよーであります。

まずは南と南東と北のヤツを。
講義の後の疲れが揮発していくのであります。

バレンタインチョコは、たしか中学二年あたりから本格的な流行をみせたよーな気がいたします。

もしも、大人だったら「映画みたいにダイタンにチュッとしてやるのだが」と、それが、しんしんと降り続ける雪のなかで真っ赤なリボンのチョコをもらった時の衝動でありました。

しかし、私メのしたことは、チュッの代わりに、雪をすくって雪玉を作り、ぶん投げることでありました。そしたらば火災報知機に命中し、教員たちや生徒などの野次馬が集まり消防車が来るまで、校庭の隅でボウゼンと佇んでおりました。

さぁーて、二月四日。丁酉の年が始まったのであります。
日干が壬だけでなく、月干が壬のお方はオタノシミの1年間になりそーな気配でありますぜ。

あれから50年ちかく経過して、まさか神楽坂で、いまだに何かを待っているとは思いもよりませんでした。
化粧室にたったお女性を「おそいおそい」と待っているのではございません。遠くのテーブルで若い連中がワイワイ楽しく盛り上がっているさまを眺めつつ、木製の白いペンキの窓枠からかすかに吹きこんでくる二月の夜風にワインの酔いを醒ましているだけであります。

何を待っているのか、待っても遅いのか、あるいはとうに手に入れてしまっているのか、それとも忘れたのか、捨ててしまったのか、しかし、お女性の伸ばした手のひらを頬に感じつつ、ダイタンな行為に。
クロスの上には赤ワイン。
火災報知器の色。すさまじい警報音は空耳でございます。

わわわ、またもや消防車が来て、炎を消されてしまわぬよーに、今度こそ逃げなければならぬなと、路地裏の暗がりを選ぶみたいに歩くのでございました。教員に怒られ、チョコがたちまち苦い想い出になってしまってはかないませぬ。

さて、次は北東の鬼門…いやいや生門のヤツを味わおうかと思うのでございます。それとも開門か。