2022
03.24

11年前も、新潟回りでモリオカに戻ったのでした。

11年というサイクルは、面白いものでして、ぐるっと一巡し、同じ曜日になることを、いぜんどこかの雑誌占いで、タイプの算出表を作成しながら気づいたのでした。
その方面に詳しいお方からすれば、
「当然のこと」
と一笑にふされるでありましょーけれど。

などと思い出しつつ、半分眠った、ネボケ眼を開けると、まだ雪深い上越付近を新幹線は疾走しているのでした。

午前4時半に自宅を出たのは、神戸での講義以来ではなかったかと。

新幹線はガラ空き。
羽越線に乗り換えましたが、特急ときもカラガラ。
震災と違い、今回はべつに無理をしてモリオカに戻るとくべつな理由はございません。
ただ、東北新幹線が不通で、
「今月は無理じゃねすか?」
の大方の予想を覆したいだけだったのかもしれません。

羽越線は、新発田を過ぎたあたりから日本海沿いに走ります。
遠くに佐渡を眺めまして、
「おや、湘南の134線を江ノ電に乗って眺めているのでは…」
そんな錯覚をさせるのでありますが、
「墓地はなかったな」
すこし我に返るのであります。

11年で得たものと失ったものを数えることにいたしました。
得たものは皆無でございます。
失ったものは、若さであり、記憶力であり、視力であり、聴力であり、友であり、親戚であり、食欲であり、キリがございませんです。性欲すらも危なくなっておるのであります。

と、いうわけで秋田までたどりつき、そこから秋田新幹線という、田んぼのあぜ道のような線路を走る秋田新幹線こまちでモリオカ駅に到着したのでございます。
寒風が吹いておりました。
「むなしー~」