2011
10.02
この画像が、すべてなのであります。
低気圧の接近のために岩手県は冷え込み、2030Mほどの岩手山は、この日、例年より25日も早い初冠雪があったのであります。
と、のどかに天気予報士が語っていた時、私メは、その岩手山に登頂していたのでございます。
横殴りの暴風雪に、カラダごと吹き飛ばされそうになりながら、外輪山を頂上目指して這いつくばっていたのでした。
高山の気圧の低さのために丸く膨らんだほっぺたすら風雪のために持っていかれそうなのでありました。
山頂付近の剣を抜いて、念を込めようとするのですが、カラダが寒さに震えてポーズになりません。
見てください。軍手ですよ。ジーパンですよ。無帽ですよ。
八合目の山小屋で、係の人に止められましたが、嫌がる同行の甥二人を強引に連れての登頂でありました。
この念を入れた効果が、はたして効果を奏するのかどうかは、ぜんぜん自信がございません。
しかし、これで今回のモリオカにきた目的はすべて完了なのであります。
四合目までくだると下界は晴れておりまして、あたかも私メを慰めてくれるように虹がかかっているのでありました。
骨の芯まで冷えたようであります。いくら熱燗を体内に入れても、背中がぞくぞくと冷えるのであります。
私メはもしかするとバカバカしい愚かなことをしたのかも知れませんです。
けれども、コレだけは言えるのであります。
下山してから、不思議とカンが冴えていますですと。
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十傳の日記 /
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2011
10.02
昼のモリオカは私メによそよそしいのであります。
ちいさな城下町であります。
四方を山でかこまれた盆地のせいなのか、モリオカのお女性はなぜか悩みを抱え込むようであります。悩みがふき溜まって、どこにも逃げていかないのであります。
街は整備され、訪れる人たちを安心させるような街並みになっております。
住民は穏やかで常識的で、とてもひかえ目であります。
昼のモリオカにその雰囲気は集約されているといってもいいでしょう。
が、夜はちがいます。
どこの街よりも卑猥でお下品で情熱的なのであります。
暗闇をまって、女たちは昼の仮面をはぎとるとしかおもえませんです。
開放的になるというのではありません。
あくまでも陰鬱な情熱。
近親相姦的な昔から受け継がれている淫靡な情熱が、湯気のように夜の街を歪めるのであります。
もしも、「男が欲しい」「女が欲しい」と悶えているなら、夜のモリオカを訪ね、賑わっている飲み屋に入れば、すぐにでも接点を持つことが可能であります。
しかし、昼はちがいますです。
人々の悩みが舞い降りて、一種独特の静寂となって止まっているのであります。
ひとりで悩みをかかえこみ、いいえ、悩みが漏れ出すことをおそれているようにもかんじられるのであります。
モリオカのお女性のプライドの高さと見栄の張り方は、そこからきているようなのでございますです。
三年後、老母が死に、この街との絆の半分が切れたとき、私メは、この街とどのように向き合うのでありましょうか。
小さな頃に家出をして、夜になって、自宅の周囲をさまよったときに、自宅が他人のような顔をしておりました。ちょうど、引っ越した前の土地を再訪したときのような、冷やかさがおもいだされてなりませんです。
別れた相手と、偶然にすれちがったような、縁の切れた空虚な気持ちを味わうのでありましょうか。
このたびのモリオカはすこし他人の顔なのであります。
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独断的恋愛論 /
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