2012
10.16
10.16
仕事をしていましたら、どこからかキンモクセイの香りがしてきたのであります。
ドレドレと、つっかけで表にでたところ、近所の家々の庭さきから、黄色い花をもったキンモクセイがいまが盛りにたくさんの花弁をほころばしていたのであります。
私メが、キンモクセイを知ったのは、郷里を出てからであります。
モリオカでは、この花はあまり馴染みがないような気がいたします。
なので、どうしても秋の花だと素直に受け入れられないのであります。
チンチョウゲと混濁して、春の花として頭の中でひとつにくくられているのでございます。
秋にしては、あまりにも明るい匂いなのであります。
オカマっぽいのであります。
あるいは、美白し過ぎた熟女みたいであります。
が、この花が散れば、晩秋がそこに現れるのでありましょう。
夏を振り返りつつ、
「あの頃にもういちど戻りたい」
とでも無理を訴える花のような気がしてなりませんです。
タイムマシンがあったなら、過去に戻ってみたいとは思うものの、実際はもう若い頃に舞もどろうとは考えもできませぬ。
体力も衰え、食欲も失われ、老眼になりつつあっても、若い時代をふたたび経験したいとは絶対に思えないのでございます。
いまがイイというわけではありませんけどね。
キンモクセイの香りは、昼と夜の境目を失わせるほど香り高く漂っているのでありますです。