2012
10.19

この、お方が亡くなったようでありますです。

好きな女優ではありませんでしたが、しかし私メの世代を語るとき、欠かせぬお女性の一人であることは間違いありませぬ。

しかし、こんなに老いてしまっていたとは、時間というものは我々に何かを悟らせつつ、美を剥がしさらっていくものなのでありましょう。

男子の心を蠱惑させつつ、本人も「蠱」となっていくのでありましょうか。
易に曰く、蠱とは皿にもった食物に虫がわくことなり。

シルビア・クリステル…。
映画「エマニエル夫人」を見なかった男が、果たして存在するのでしょうか。

それほどまでに世間の注目を浴びた女優であります。
「たいしたことネがったじゃ」
「さっぱどイヤラしくねがったでゃ」
と内容も、演技もいま一つ。

しかし、なぜか心に張りつき「ああ、懐かしいなぁ」と男どもは、いまでも妙にリアルに心に呼び起こすことができるのであります。

平凡なおヌードであります。
ギスギスしたお女性に感じられますです。

が、それでも記憶に残るのであります。

老いて癌になってやつれて死んでしまうとは。
女優のプライベートなど知りたくないような気持ちになりますです。

いえいえ女優だけでなく、ぴちぴちしていたお女性のその後を見てはいけないのかもしれませぬ。
豊かだった自慢の肉体に復讐されているのは、ほとんどの女性かもしれませんですね。

ハゲとかデブとかジジイなどと男を小バカにしたいなら、どーぞしてくださいまし。
男は、お女性に比べると、少しは長持ちするのが救いなのでありますから。

20代の女性が、30代の女性を「あの年増がさぁ」と飲み屋で悪口を言いますが、その言葉は、やがてそのまま自分に返ってくることを、まだ知らないようであります。

が、年齢に歯向かうことはできませんです。

年齢は勝手に増えていくのでありますから。
せめて自分の年齢で老いていきたいものであります手す。

カラダがわななくほどお女性の肉体を求めたことがございますです。
しかし、いまは、あの震えるほどの渇望はございませぬ。

こうしてお女性のビフォー・アフターを眺めるばかりなのでありました。

ジジ様を愛する若い子は意外に多いのに比べ、おばば様を求める男子の数は極端にすくなく、それはそれで不平等と言ったらいいのか、当然の帰結と胸を張ればいいのか、よく分かりませんですね。