2024
11.10
11.10
昨日の老人たちの反省会は15人もが集い、酒を飲みかわすのでありました。
が、同年配というのに、みな後期高齢者の如しでありました。
ふと、見回すと、周囲は墓標で、その墓に囲まれて、私メひとりがぽつねんと料理をつついている錯覚に見舞われましたです。
目の前の老人たちは、すべてマボロシであり、本当にマボロシ老人もたしかに混じっていそうな気配だったのであります。
初恋のお方も見えておりましたから、
「初恋だった」
と、普通に語ったら周囲はしばし沈黙に包まれ、
チーン…
と仏壇のリンが鳴った気がいたしましたです。
老女もハッとしたよーでした。
「だから」と私メは続けました。「だからベンツには乗らないことにしている」と。
意味不明の沈黙がまた発生。
モリオカの老人はバカに純なのでございます。
「だから中古のベンツにも乗らない」
すると老女は、その意味を逆に解釈したらしく、「こんご出入り禁止ぃ~」などとほざきました。
別に好きで参加しているわけではなく、さりとていやいやでもありませんでしたが、頭合わせに誘われたから来ただけで、そして、「中古のダイハツ」ではなく、精いっぱいの賛辞が「中古のベンツ」だったのであります。70年型フェアレディZとでもいえば良かったのか。
美貌ではあっても、話が合わないお女性であることは、うすうす知っていましたから、「永遠の純愛だな」と愛の告白の幕を引いたのでございます。
そーして底冷えのするモリオカの町をタクシーを求めて一人歩いたのでございます。