2011
05.09
05.09
GW最後の日、湘南海岸には夏の光がとびちっておりました。
こういうふうに鏡のようにうつる砂浜は夏のとうらいの証拠なのであります。
淫らであります。
夏の湘南は匂いまで淫らなのであります。
まだ微かではありますが、浜辺のいたるところから火薬のような匂いが、やがて海を覆い尽つくし、男と女は官能に狂わねばなにも始まらなくなるのであります。
くるぶしまで海水に濡らしましたら、冷たさとぬるさがこうごにだんだら模様に感じられました。
海は津波のような恐ろしさもあわせもちながら、一方で人の魂をねこそぎ淫らに染めるふしぎなちからもあるようであります。
恋は淫らなのであります。
愛も淫らなのであります。
淫らさのない恋愛は恋愛ではないのであります。
海水はやがてむずがゆいほどぬるまっていくことでありましょう。
冬の間はくっきりとみえていた大島も富士もかすんでみえませぬ。
夏にい至った証なのであります。
これから十月までそれらをみることはできませぬ。
つまり淫らが許されているわけなのであります。
浜では、男も女も、それが若くても、すこし年齢がいっていても、みんなニヤニヤしているのでございました。