2011
10.27
仕事が一段落し、本屋にいきまして、その帰り、遠回りして自転車を走らしていましたら、魚屋で牡蠣を売っておりました。
生の牡蠣はちと苦手であります。飲み込む時にゲロンと白眼を剥いてしまうのであります。
でも牡蠣フライは好物です。
好物ですが、年に一度と決めております。
それで、今夜、その年にいちどの牡蠣フライをしたのでありました。
ただそれだけであります。
白ワインを飲みつつ、サクッサクッと食っただけであります。
そうして、酔いがまわり、しばし仮眠、便意によって目を覚まし、もずく現象。
牡蠣は、私メの体内を通過して、いずれ海に還るのでありましょうか。
ああ、また同じようなことになったなぁ、と恋をするたびに、それがなんであるかは今は気づきませんが、そう感じることがありますでしょう?
牡蠣フライは、私メにとって、秋も深くなったなぁ、今年も…とおもわせてくれる食いモノなのであります。
発展性のない同じことの繰り返しも、なかなか味のあるもののようでありますです。
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開運料理 /
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2011
10.26
季節はずれの熱気をさらっていく風を感じていたら、夜のドライブをしたくなったのでありました。
雰囲気を察したのかジョルノが膝にきましたので、そのまま階下まで抱え、バタムと車のドアを閉めたのでございます。
ジョルノは病弱でありますが、気の強いところがみられ、雷が鳴ろうと平気であります。
大きなイヌと遊ばせると、交尾するようにバッグをとるのであります。
去勢しておりますから、その名残は多少はありますでしょうが、それよりも自分の強さを誇りたいという野性を感じられるのであります。
ロメオのように甘えることなく、ドライブ中は膝の上で前方をにらんでおるのでございました。
弱いくせに負けん気が強く、だからいつもイジメにあう小学生のようであります。
人には与えられた運命というものがございます。
その運命に純粋に生きていけば幸せを得られるのであります。
ところが妙なモラルや自意識が邪魔をして、純粋さを濁してしまうのが現実であります。
たとえば、もみ手をしてゴマをすることで出世するタイプがあるといたします。場合によっては経営者に野次られ、頭を小突かれても「ありがとうございました」とばかりニコニコすることで、経営者に可愛がられ出世するのでございます。
ところが、ある日というか、年回りが悪いというか、自意識に目覚めたりいたします。「オレも男だ、プライドを持とう」などと、勇ましい態度に変わるわけであります。
その態度は、運命に忠実ではございませんので、濁った生き方ということになりますです。
経営者にちょっとでもタテつくことになるでありましょう。
そこで「生意気な奴め、可愛くないぞ」ということになり出世は終わりという結末を迎えることになりますです。
いや、生き方はいろいろあるだろう、プライドを捨ててまで出世することはないと思われるかもしれません。
しかし、その男の生年月日にとって出世することが幸せの主たる柱だったとすれば、将来の道を断たれることは死ぬほどの苦しみということになるのであります。
「いろいろだよなぁ、運命は」
とジョルノを膝にのせつつハンドルをあやつるのでありました。
ふたたび、自宅のガレージにもどると、
「何のためのドライブだっのだ?」
とジョルノは、不可解な顔で私メをみあげるのでございました。
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ワンコ物語 /
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2011
10.25
仕事のつかれに、縁側で寝そべっていますと、秋の空がひろがっていたのであります。
いつもなら、うたた寝するところですが、今日は10月25日だなぁ、なんて雲のうごきを眺めておりました。
大切ななにかを忘れておりました。
それが、ふと思い出されたのであります。
ああ、ゴウ命日なんだっけ。
二年前の今日、五歳のヨークシャーテリアのゴウが白血病で死んだのであります。
私は、そのとき図書館にいたのでありました。
ゴウは立つことも出来ないほど体力を失い、椅子に横たわっていましたが、借りた本を返すために図書館にいったのです。
モノ音がして、振り返ったら、図書館のロビーで老女が大の字で倒れていました。
「はっ!」とスピリッチャルがはたらきまして、老女の周囲にあつまるやじ馬をおしわけて、自転車をはしらせ自宅にもどったのでございました。
ゴウは、もう、すっかりいけなくなっておりました。
最後の息を大きく吐き出しました。
汗腺がないはずなのに全身が濡れました。
愛犬を失ってからタイプは二つに分かれるようであります。
にどとイヌを飼わないタイプと、新たにイヌを飼い始めるタイプと。
私メは後者であります。
三日目には、ペットショップでロメオを発見したのであります。
失恋した人も、やはりタイプがふたつに分かれるのかどうかは知りません。
しかし男と女の出会いと、ペットとはちょっと違うような気がいたしますです。
かくまで命日の秋の空はあおく輝いているのでありました。
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