07.02
モリオカでの法事に、川崎に住むケンちゃんという従弟が、「若い」恋人を伴ってきました。
そのことは前から知らされておりまして、とても期待に胸を膨らませていたのであります。
従弟は大谷選手似の好感児ではありますが、62歳。
さーて、どんな彼女なのか、
「もちろん、女友達はいるのだろうな」
「姉妹でもイイぞ」
彼女の母親が、従弟より年下ということも耳にしておりまして、
「だから反対されているんですよ」
そんなことはどーでもいいの。ほほぅ、母親がケンちゃんより年下ですか~。
クルマの到着が遅れまして、待ちきれずに境内のパーキングに出て待っておりましたら、ピカピカの新車が入って来まして、ケンちゃんでした。
そして彼女も降りてきました。
「初めまして」
と彼女。
「……あれ」
落胆と安堵感のブレンドされた妙な気持ちでありました。
美人なのです。美人です。美人ですとも。
しかしホッといたしました。
まだ籍は入れていないとのことですが、下手をすれば、いや下手をしなくても長い付き合いになりますから、失礼な質問はできません。
それでも食事をしながら、じわじわと質問の輪を狭めていきました。
37歳で初婚。仕事は広告関係。お酒は大好き。ゴールデンボンバーのファンーーー。
こんなとき人相の知識が邪魔をします。というか人相を見てしまうのであります。
唇は薄め、目は黒目勝ちで切れ長、ホクロは…。勝気な性分だな。
これでは、別れた最初の奥さんとひどく共通点が多く、そーいえば面立ちが重なるではないか。前の奥さんもずいぶんとキツイお方でした。
母一人子一人で、ジジ専の友達はいないとのこと。
これはハッキリと宣告されましたです。
そこまで聞き出せば、もう用はございません。
ああとは勝手にしてちょ、でございまして、地酒を堪能することにいたしました、
ヤバかったのは翌朝。
またしても易者の本能というか、人相の知識というか。
「昨夜はヤッたのであろーか」
ケンちゃんと彼女の血色を、無意識に「刀巴心青」という色情人相でチェックしてしまうのでありました。
むむっ、山根がかすかに青くなっているぞ。
死相が目の下に現れているぞ。しかも左右の瞳がブレている。
<やりましたな~>
言葉の上では、
「酔っぱらっていてなーんにも聞こえませんでしたよ」
宣告するほどの強さはございませんから。
ケンちゃんにとっての、イイ女で良かったと、これほど清々しい気持ちになったのは珍しいのであります。
「しやわせになったくださいね」と。