2023
08.18

猛暑はあと何日つづくのか。
けれど、この赤い花は、夏が終わりに近いことを知っておるよーであります。

瞬間的に恋がはじまり、さあ、これから新しい希望の日々が始まるかというとき、その恋は散る。これが夏の恋の宿命のよーであります。

恨めしさと悔しさと虚しさが、身と心を淋しさで押し包み、気づけはぼんやりと時間が経過しているのでありましょー。
誰が悪いわけでもない。太陽のしわざなのですから。

独りの時をいかにして消化してしまえるか。つらいのは別離の苦しみではなく、その長い孤独の時間なのでございます。

そこで易者が繁盛する季節がそろそろ始まるのでございます。
私メも駆け出しのころは、恋占い、失恋の占いがほとんどでありました。
白いTシャツの袖からのぞく日に焼けた小麦色の肌が、まだ恋の終わりを実感していない戸惑いを告げているのでありました。

1960年代生まれのお女性でしたが、それが1970年代生まれにうつり、やがて1980年代生まれ。
時代は変わっても、恋の悩みの本質は変わりませんです。
孤独の重さから逃れたいのであります。
取り残された感から抜け出したいのであります。

私メくらいの年齢になりますと、訃報が届きます。
ああ、彼女も亡くなったか…。
脱いだサンダルを後ろ手にひっかけて波打ち際を歩いたお女性でした。まっしろい歯がまぶしくて、もっと笑わせよーとジョークを連発いたしました。伝説の年齢の頃のことでございます。

死んでしまっては占いも何にもなりません。
後悔せぬように、いつ別れが来てもイイよーに、真心をこめても、やはり後悔は襲ってくるものでございます。

まだ夏は終わっておりません。