2023
08.29

老母の衣をかぶった邪教である佼成会員に実効支配されていた、実家の屋敷を、完全に奪還したのでした。

佼成会員から漂うどくとくの線香のにおいが、この母屋の二階にまで忍び寄っていて、
「さては、ここにも会員どもを通したな?」
いや、老母の足は、二階には上れぬほど弱っていたから、招き入れたキャツらは勝手に、ここでくつろいだなと、直感するのでありました。
鼻くそを丸めたよーな黒い粒々がいたるところに転がっているのでした。そーです。邪教の仲間たちは、どーいうわけか黒い粒々を落とすのが特徴なのであります。

が、隠し部屋は大丈夫。
そうです。各所に隠し部屋を設けておるのであります。

隠し部屋の奥にも隠し部屋のある個所がございまして、そこには悪しき気配はありませんでした。
老母さえも、この隠し部屋の存在は知らぬはずであります。

私メは、この屋敷を、童心で考えたのでありました。
実用性からは、まったくの無駄の多い空間なのであります。
だからこそ大事なのであります。
童心の夢だから。

家の形は、ぜんたいを西に向かって飛ぶ龍をイメージしておりますです。

とにかく徹底した掃除をし、はじめて私メだけの屋敷を手にした気分でありました。

各部屋にはツボがございまして、つまり役割であります。
たとえば、昼寝をすると不思議な夢を見てしまう部屋とか、直感の冴える部屋もございます。思考の部屋も、妙に落ち着く部屋。
これらが呼吸をはじめたよーな気がいたしました。

妹から電話がありまして、
「流刑地が決まったよ」
北上川の向こう側ということでありました。

じつに60年以上にも及ぶ、戦いが終わろうとしております。獄神得奇よ、ありがとう。
油断はできませんが。