2011
09.09

季節限定のチューハイというものは、時として辛い思い出をかきむしるようであります。

また秋が巡ってきて、梨の味のチューハイが出回っているのであります。安い梨を食うよりずっと梨の味覚を堪能できるのであります。

ああ、去年の秋は、これをあのお女性と飲んだったけなぁ、とか思い出したりするようであります。
真昼間に雑踏の街の駅で待ち合わせ、コンビニで買ったチューハイをぶら下げながらひとすじ裏の通りに折れて、そのまま…。

それから髪をほどいたお女性と、これをそそいで、ちいさくグラスとグラスをあわせるのです。
「何のための乾杯?」
なんてことは聞かないのであります。

「おいしいわね」
「おいしい」

春には桃のチューハイだったでしょうか。
季節ごとに限定品が売り出され、不意に店頭から消えるのも不思議であります。

お女性との関係もおなじように消えていくのであります。

いいえ、そんなきれいな別れ方なんてできるはずがありません。

が、一年もたつとチューハイによって記憶をよみがえらせ、つい購入してしまうのでございますです。

画像の背景は福山雅治のデビュー曲の「追憶の雨」ならぬ「追憶の飴」なそうであります。